富士山は誰もが知っている日本最高峰の山でその標高は3776mである。その標高ゆえ、登山シーズンは7月と8月の2ヶ月間と短く、この短期間に多くの人が訪れる。登山道は河口湖、吉田口、須走口、御殿場口、表富士宮口の5ルートからなり、今回は須走口ルートから登ることにした。
須走口はスタートとなる新五合目が2000mと他のルートに比べ低いのであるが登山者の数は少なく、山歩きを楽しむには須走口ルートが一番いいルートではないかと思う。
今回は陸上部のメンバーでの富士山挑戦。
19時に部室に集合して出発。東名高速の牧之原SAで夕食を食べ、御殿場インターで下り、国道153号を北上してふじあざみラインに乗り須走口新五合目駐車場を目指す。
新五合目が近づいてくると路肩に駐車車両が目立ってきた。だいぶ早く名古屋を出たと思ったけど、やっぱり遅かったみたいでした。仕方なく、並んでいる駐車車輌の最後部に車を停めた。
2時に車を出て、山頂3776mを目指しいざ出発。5分くらい道を登ってやっと新五合目に着き、すこし気持ちも引き締まる。小屋の前の舗装路を歩いていき、案内に従い左に折れ森の中へ入っていく。
夜登山は何回かしているので慣れてはいるが、やはり足元が見にくく注意を払いながら一歩一歩進んでいく。岩でできた大きな段差や手の平くらいの石ころが多いです。
いったん森林から抜ける頃には砂地に変わってくる。視界が開けて気分も落ち着くが、まだまだ森林地帯が続く。
灌木を抜けていくと、新六合目に着く。初めの山小屋ということもあり多くの人が休憩していた。私たちは上の方で日の出を見るためそのまま本六合目を目指した。
まだまだゆったりとした登山道を道標に従いながら登っていくと、本六合目の瀬戸館(2700m)に到着である。
この辺りが森林限界のようで、草木は膝丈もないくらいのものになり、次第に木々もなくなってきて視界も開けてくる。登山道は今まで通りの砂地の道が続く。
新七合目手前の開けた場所で朝食を食べながら日の出を待つことにした。今までは動いていたから寒いと感じなかったが、座ってご飯を食べていると寒かった…しっかり着込んで待つこと40分、次第に周りの雲々が明るいオレンジ色を帯びてきた。
まだか、まだかと待つこと更に5分(4時50分)でやっと雲から太陽が昇ってきた。雲の中から現れた太陽は神秘的で感動した。
振り返ると富士山が太陽に照らされて赤色をしていて、山際にはなんと虹が出ていた。
虹がかかる
朝陽が雲に当り、とてもきれいな雲海が広がっていた。七合目に近づくにつれ、次第にゴツゴツした岩が目立つようになってきて傾斜もきつくなってくる。
新七合目大陽館からは今まで登ってきた森林地帯などを見渡せ、また本七合目の鳥居など頂上もはっきりと分かってくる。
今までと同じような道が本七合目まで続く。本七合目の見晴館は標高3250mで高山病が心配されるため長めの休憩をして高度に体を慣らしていく。
本七合から山頂
ここから砂地の広い道で下山道と兼用であるため、山頂で日の出を見た方々とすれ違うことになる。足元にそれほど気を遣わなくていいので楽に登っていけるのだが、過度にスピードアップをしないように注意は必要である。
新八合目スバルラインの看板を過ぎても本八合目までは同じような広い道が続いている。
本八合目からは河口湖、吉田口ルートと合流するため、急に人が増えることになる。これらのコースは観光ツアーで来ている人も多いため、数が半端でない。
ここから山頂まで山小屋がなく標高ゆえ登りの一番の難所である。
また一段と傾斜がきつなって、火山岩が砕けたような石が目立つ道になる。登っていくにつれ、高山病でうずくまっている人もいる。
岩が次第に多くなる
山頂の鳥居が近づいてくると一段と火山岩が大きくなり傾斜もさらにきつくなる。山頂鳥居がすぐそこに見えているのに、なかなかたどり着かないのでもどかしい気分になるが、ここはゆっくりと登っていく。
やっとこさ山頂奥宮に着くと、まずは一安心。昼食を食べながら、火口を巡る「お鉢巡り」にむけこの高度に体を慣らす。40分くらい休憩して、お鉢巡りに出発だ。
お鉢巡りは標高3700m付近の富士山火口3kmを歩くため楽なものではないが、富士登山の醍醐味であるため体力に余裕があればぜひとも歩いてみたいコースである。
左周りでお鉢巡りをすることにした。
山頂小屋を過ぎて、すこし歩くと大きく窪んで口を開けた火口が姿を現す。その大きさにはビックリして見とれてしまう。火口を挟みその反対側には富士山観測所と剣ガ峰が見える。
銀明水と言われる霊水の湧場がありちょっとした小屋があり、御殿場口との合流地点である。
そこからすぐの所には富士宮口からの合流点である富士山頂奥宮がある。ここは富士山でも有名な郵便局のあるところになります。
富士山頂奥宮
奥宮を越えると火口を見ながら歩くことができるゆったりとした道が続くことになるので、この道でしっかりと休憩をして欲しい。
剣ガ峰が近づいてくると登り道に変わり、難所の馬の背道が現れる。この道が半端なく急で手すりに掴って登っていかないと転んで下まで落ちてしまいそうだ。
ここを登りきれば遂に日本最高峰富士山剣ガ峰3776mだ。
観測所前に二等三角点(3775.6m)と日本最高峰と書かれた石碑が建っている。この日は天気も良く多くの人で賑わっていた。
日本最高峰の碑の前でみんなで記念写真を撮り、やっと富士山を登ってきたんだという満足感でいっぱいになった。
残り半分の火口を巡ってきて再び山頂山小屋に戻ってきました。お鉢巡りは約1時間半かかりましが、やはりお勧めのコースですね。天候不順では歩くことができないと思いますので、その日の状況にあわせて判断をしていただきたいと思います。この日もお鉢巡り中に2回程雷鳴を聞きましたが、自分に落ちてくる可能性が十分に考えられますのでやはり登山の雷鳴は怖いですね。
下山は運搬用キャピラリーの道である広い砂道を下っていく。ここまでは天気の調子も良かったんですが、八合目付近で雷雲が出てしまい、近くの山小屋の前で避難をさせてもらいました。
雷が止むまでかなり時間を潰してしまいましたが、安全を考慮すると仕方ないことです。
雷も弱まってきたら、再び下山道に復帰して下山です。七合目を過ぎると有名な砂走りコースになります。景色の変化もなく、実際の歩行時間よりも長く感じてしまうのと、砂の量が多すぎて靴内に入り込んでくるのが難点。
砂走りも過ぎるとつかの間の森林地帯があり、再び砂走り道になる。砂走りが終わると山小屋があるが、ここにはあまりいい思い出はないので無視をして通過する。
ここからブルドーザー道を行き、途中から登りでも歩いてきた森林地帯に入っていく。この森林地帯が思いのほか長く、最後の正念場だ。
森林地帯を抜けると五合目で小屋の人がお疲れさまと迎えてくれて、しいたけ茶をふるまってくれた。往復12時間半を歩いてきたのでしいたけ茶はとてもおいしかった。
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